
10月22日、退職代行サービス「モームリ」を運営する会社が弁護士法違反の疑いで家宅捜索を受けました。こちらに日経の記事URLを記載します。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUD2214B0S5A021C2000000
記事中には、「弁護士を紹介し、紹介料として弁護士から報酬を得ていた」とあります。いったい何が問題なのでしょうか。
そしてこの問題は、我々社労士といわゆる「給付金サポート」を行う企業にも同様に存在しています。
今回は、「モームリ」のニュースから士業の独占業務について解説していきたいと思います。
「モームリ」が疑われた「非弁行為」とは
今回容疑のかかった、「自らの顧客に弁護士を紹介し、紹介料として弁護士から報酬を得る行為」は「非弁行為」と呼ばれ、弁護士法第72条によって禁止されています。
具体的に言うと、
・弁護士しか行ってはいけない法律に関する業務(独占業務といいます)が存在し、
・それは弁護士事務所、弁護士法人以外が業(お金をもらう仕事のことです)として行ってはならず、
・また弁護士事務所、弁護士法人以外がその業務のあっせん等を業として行ってはならない
という主旨の内容になっています。
今回は「顧客に弁護士を紹介する」という行為によって弁護士側から報酬を得ているのではないか=業としてあっせんを行っていないか、という疑いが向けられた、ということになります。
独占業務を弁護士以外が行ってはならない、というのは納得しやすいと思いますが、なぜあっせんも禁止されているのでしょうか。
簡単に言えば、「弁護士と依頼者が直接報酬のやり取りをしないと公正にならない」のです。
あっせん業者Aが顧客に弁護士を紹介した場合、弁護士は顧客だけではなく、業者Aとも報酬による関係が発生してしまいます。顧客がある業者Bと争う際、BとAの間に取引関係などが存在すれば、Aが弁護士に対し何らかの影響を与える可能性もあります。
そのような不公正を防止するため、あっせん行為も禁止されています。これは弁護士の紹介を受ける顧客側が報酬を払う場合も同様です。
弁護士法の条文はこちら https://laws.e-gov.go.jp/law/324AC1000000205#Mp-Ch_9-At_72
「独占業務」は社労士にも存在する

上に説明したような「専門資格を持った人が、特定の業態でしか行ってはいけない業務」、いわゆる独占業務は、我々社会保険労務士にも存在します。司法書士や税理士にも存在しているので、士業とは「独占業務を行う人」と言えます。
こちらは社会保険労務士法の条文です。
(業務の制限)
第二十七条 社会保険労務士又は社会保険労務士法人でない者は、他人の求めに応じ報酬を得て、第二条第一項第一号から第二号までに掲げる事務を業として行つてはならない。ただし、他の法律に別段の定めがある場合及び政令で定める業務に付随して行う場合は、この限りでない。
(非社会保険労務士との提携の禁止)
第二十三条の二 社会保険労務士は、第二十六条又は第二十七条の規定に違反する者から事件のあつせんを受け、又はこれらの者に自己の名義を利用させてはならない。
ここに書いてある「第二条第一項第一号から第二号までに掲げる事務」(1号業務・2号業務と呼んだりします)というものについては、弁護士と同じく、社労士事務所、社労士法人以外の人間からのあっせんを受けてはいけないという規定があることになります。
この1号業務、2号業務については多岐にわたるため、簡単に説明すると、
- 1号業務
- 労働社会保険諸法令に基づく申請書や届出書類の作成・提出代行
- 2号業務
- 労働社会保険諸法令に基づく帳簿書類の作成、労務監査
社保に関する書類の作成や申請の代行、帳簿作成の代行は社会保険労務士の独占業務である、ということです。
これは、「仕事として申請の代行などを依頼する場合は、必ず社労士事務所、社労士法人に依頼しなければならない」ということでもあります。
社労士法の条文はこちら https://laws.e-gov.go.jp/law/343AC1000000089
代行業務は社労士事務所に直接頼んだ方がよい

私は社労士なので手前味噌にはなってしまうのですが、これまでの話を総合すれば納得いただけると思います。
様々な「給付金サポート」を謳う事業者は、株式会社などの法人である限り絶対に社会保険の申請代行業務を行えません。
そのため、名目上は「サポート」「コンサルティング」などを行う企業となります。
しかしながら、社会保険の申請において最も煩雑なのは書類を作成し、申請することですから、それを顧客に任せるようではサービスとしては非常に弱くなってしまいます。
そのため、申請の代行に関しては「モームリ」と同じように社労士事務所を紹介する形になると思います。
さて、上でお伝えしたように、社労士はこれらの会社から紹介料を払うことも、また依頼料を受け取ることも許されてはいません。
つまり、紹介される社労士は必ず依頼者に依頼料を請求しますので、依頼者はサポート会社と社労士の双方に報酬を払うことになるのです。
一方で社労士事務所に直接依頼をすれば、少なくともコンサル費用はかからずに済みます。給付の規模によっては数十万円のコンサル費用を請求する会社の話も聞きますので、負担は大きく軽減します。
繰り返しますが最も煩雑なのは書類の作成と提出・申請ですので、コンサル業務を挟まなくても何の問題もなく給付は行われるでしょう。そもそもほとんどの社労士は単なる書類の代行屋ではなく、社保と労務の専門家でありコンサルタントです。皆さんの希望にきちんと応えてくれるはずです。
まとめ
- モームリが家宅捜索を受けたのは独占業務を行った容疑から=独占業務は資格を持つ者しかできない
- 社労士は労働社会保険諸法令に基づく申請書や届出書類の作成・提出代行が独占業務である
- これらを依頼する場合は直接社労士事務所に依頼するのがお得
当事務所でも申請の代行や、社会保険に関するご相談をいつでも受け付けています。
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仁禮社会保険労務士事務所